漫画と文芸

ブックオフで漫画を片っぱしから立ち読み、斜め読みし、
気に入った7冊を購入(写真。

今回買ったのは全て、いわゆる「大型本」である。


豊田徹也『アンダーカレント』(アフタヌーンKCDX)
山本直樹『ビリーバーズ Ⅰ』(ビッグスピリッツコミックスペシャル)
・同Ⅱ
榎本ナリコセンチメントの季節』(ビッグスピリッツコミックスペシャル)
・天堂きりん『恋愛アナグラム』(祥伝社
おちよしひこ/水野良ロードス島戦記 灰色の魔女』(ドラゴンコミックス)
大森葵ソニックウィザード』(バンブーコミックス)


普段マンガを見るときは、どうしても一般サイズの単行本の方に
目が行きがちだが、大型本のマンガにも隠れた名作は数多くある。


『アンダーカレント』は、兼ねてから評判を耳にしていたマンガなのでぜひ読みたいと思っていた。
新品を買う覚悟もしていたのだが、幸いに500円で購入。


『ビリーバーズ』……ヤバい。一読したけど、これ凄い漫画ですよ!
後日レビュー書きます。


センチメントの季節』……8割型セックスシーンな気がする漫画。
絵柄はそこまでエロくないけど、退廃的な雰囲気にそそられて購入。


『恋愛アナグラム』……6つの切ない恋愛エピソードを、温かみのある絵柄で描いた作品。
決して派手な展開はないが、どこか心に染みるシーンが多数ある。儚げなジャケ画も秀逸。
生きることに疲れた時に読み返したい一作。


ロードス島戦記』、『ソニックウィザード』……フィーリングで購入(絵柄を見て、私が愛した暗黒期のコミックボンボンを思い出したからか)。

この2つ以外の4作品は、概して「文芸的」な作品だ。


「文芸的」という表現は、マンガ批評では少々手垢のついた言い回しだが。言い得て妙だと思う。
特にアンダーカレント・ビリーバーズは<マンガ>というメディアに乗っかっているけれども、
小説に(活字媒体化)しても全く違和感を感じないように思える。


私の主観だが、マンガを活字化したもの(ノベライズド)には、いささかチープな印象を受ける。


考えてみて欲しい。
例えば
「海賊の王『海賊王』を目指す、全身がゴムの少年とその仲間たちが、大海原を冒険する話」
が小説だったとしよう。
……なんだかキツい気がする。
その原作を非難しているわけではない。
某原作の持ち味である躍動感や、主人公の腕がシュゴオオオオと伸びていく感じ、
見開きで表情をどアップにしたときの迫力などを、活字では表現しえないということである。


しかしながら「文芸的」な漫画では、キャラの細やかな表情や、周囲の情景などを丹念に描く。
そこには少年漫画のような躍動感はない。
けれども文芸的な漫画は、
<マンガ>の中にいるキャラが「私たちと同じ世界に息づく人」である、
という感覚を私たちの脳裏に焼きつける。


いささか極端な例を出したが、「文芸的」と評される漫画は、
他の一般マンガと一線を画しているというのが私の見解だ。
どちらが良い、悪いという話ではなく。
好みの問題である。


ちなみに私はどちらも好きだ。
しかしながら、私の心中に両者が占める位置は若干異なっている。

・ 一般マンガ ……同性の友人
・文芸的マンガ……近くて遠い異性

という隠喩が相応しい。

良い文芸的マンガと出会った時は、胸が動悸し、しばらくその作品のことばかり考える。
お金がガンガン減る(買う時は新刊で買うから)。
次に出会える時が待ち遠しい。


当然、


別れた時は悲痛である。