好きなことを恐れない

撮り溜めしたカンブリア宮殿を見た。
毎回ながら、これだけ勉強になる経済番組もそうそう無いな、と感じる。



2009年10月19日放送
「安くても儲かる秘密はデータにあり!!
〜独自に築き上げた“必ず儲かる仕組み” とは!?〜」
ゲスト:才津達郎氏(サンドラッグ社長)



この不況の中、サンドラッグは増収増益を続けている。
しかもその増収は50年間耐えることなく続いているというから、驚きだ。



その増収を生む仕組みを多数開発してきたのが、今回のゲスト:才津氏である。
彼がしてきた工夫は多数あるのだが、
なかでも最も際立っているのが「二大責任者システム」だ。



各店舗に対し、「店舗責任者」(店長)と「販売責任者」の二人の責任者を配置する。



店舗責任者の役割は、徹底した「合理化」。
各タスクとその工数が緻密に書かれたスケジュール帳を常に持ち、
業務の効率をとにかく上げることを目的としている。



かたや販売責任者は、その多くが薬剤師で、「高いサービス」を実現することを目的としている。
お客からの相談を受けることに全神経をそそぎ、
豊富な薬の知識とカウンセリング能力を活かすことでサンドラッグの「ファン」を生み出すのだ。



お店の接客力というのは、その日の売上げに直結せずとも、リピーター増加という「効果」を生む。
効果は数値化・可視化しづらいことから、「効率」とはまるで水と油の関係のように論じられてきた。



サンドラッグは「効率」のエースと「効果」のエースを同時に責任者にすることで、
競合他社を圧倒する利益率を実現した(もちろん他にも要因は多数あるけれど)。



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この発想は他の領域にも活かせると思う。
相反する分野のエースが同格として働き、それぞれが自分の得意分野を磨くことで
組織が好循環を生み出す。



私のインターン先の会社に間借りしていたベンチャー企業もまさにそれ。
――というより、社員が二人だけの会社だった。
かつて広告代理店のトップ営業マンをしていた「営業のエース」と、
某大御所IT企業でエンジニアをしていた「開発のエース」の二人が共闘して起業したらしい。



お二人はいつも議論し合っていたが、私にはその光景がなんだかまぶしく見えた。
互いに自分の仕事に流儀とプライドがあるから、ああしてぶつかり合えるのではないか、と。
傍目に見ると「凄い口喧嘩」かもしれないが、それが羨ましかった。



江戸時代の陽明学者・佐藤一斎は次の言葉を残している。



学は立志より要なるは莫し。      がくはりっしよりようなるはなし
而して立志も亦之を強うるに非ず。   しかしてりっしもまたこれをしうるにあらず
只だ本心の好む所に従うのみ。     ただほんしんのこのむところにしたがうのみ



ざっくり訳すると、概ねこういう意味である。
「志を立てるのは大切だけど、無理強いしてするものでもない。ただ自分の本心に従うのが良い」



すなわち、
「無理して頑張っても疲れるだけだから、自分の好きなことを本気でやればいいよ」
という意味と解釈ができる。



なるほど。
気の赴くことを一心不乱にする。そしてそれを恐れない。
結果としてそれが自分を磨き、自分にも周りにも良い循環を与えるのだろう。



やる気でてきた。
頑張ろう。