冬にどうしても聴きたくなる曲
寒くなってくると、どうしても聴かずにはいられない曲がある。
GLAYの「Winter,again」だ。
歌詞: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65215
“いつか二人で行きたいね 雪が積もる頃に”
このサビの歌いだしを、聴いたことが無い人はいないだろう。
情緒豊かな歌詞に載せて表現されているのは、彼らの故郷・北海道。
(さらに突っ込むと、TAKUROの故郷・函館)
“生まれた街のあの白さを あなたにも見せたい”
というフレーズに込められた故郷への郷愁。
故郷が雪国でなくとも、地元を離れて生活を送る人間の誰しもが、
少なからず懐く感慨ではないだろうか。
曲、歌詞ともに何度聴いても飽きない魅力がある。
特に歌詞は、物書きとして尊敬してしまう表現力で練り上げられている。
1番のA・Bメロでは、写実的に雪国の凛とした雰囲気を表現し、
サビで郷愁を聴き手に訴えかける。
“わたし”(一人称体が曲中で明記されていないが、便宜上こう呼ぶ)
の故郷、雪国の白さを、“あなた”にも見せたいと思い、
同時に逢えない“あなた”を想う。
函館の寒い夜は、まだ“わたし”の胸の奥に焼き付いていて、
想い返すと同時に、鐘の音が脳裏に鳴り響く。
2コーラス目。
心のやり場を見失った“わたし”は、ある坂道で、自らの若さの幻と邂逅する。
そして、幻が告げる
"<元気です>の一言に 懐かしさよりも 戸惑い立ち止まる"。
そっと降り続く雪を見つめながら、“あなた”との想い出を振り返る。
まるで雪道の上を歩くように、二人の想い出には足跡が残っているのだと気付く。
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さて、ここからはテクニカルな話。
この曲を一般男性が完璧に歌い上げるのは、不可能に近い。
なにせ地声の「hiD」が最高音なので、絶対的な音域限界が立ちはだかる。
たとえば絢香、いきものがかり、椎名林檎、YUIらの楽曲のほとんどがここを最高音としていることからも解るように、女声ヴォーカル並の音域が必要となるのである。
というわけで、男がこれを歌うには、裏声でごまかすしかない。
(それでも、地声でmid2G〜hiAが出る人でないとさすがに辛いかもしれないが)
だが実は1・2コーラス目のサビ(転調前)では、ごまかす部分は少なく済む。
“あなたを想うほど Uh Uh”の 「Uh」がhiB。「うほど Uh」がhiA。
すなわち、地声でhiAが出せる人にとって、裏声使用部は一か所のみである。
しかしラストのサビ周辺ではかなり鬼畜な音域に到達する。
hiDが1回、hiC♯が1回あるほか、
hiBが頻出する。
(※参考: http://www.music-key.com/glay/detail/002.html)
噛み砕いて説明すると、「hiBを多用できる」というのは、
「ミスチルの全ての曲を、喉に力を入れずにさらっと歌い上げることができる」に
等しいと思ってもらえればいい。
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GLAY最大のヒット曲であり、
日本におけるシングル初動売上枚数、歴代4位の曲(95万枚)。
冬には欠かせないこのナンバー、挑戦してみてはいかがだろうか。
専門家じゃなく、ただのカラオケ趣味人が背伸びして解説してみたけれど、なかなか難しい。