「自分ブランド」で人を動かす

今日はこの本を読んでいた。
勝間和代藤巻幸夫「勝間・藤巻に聞け!『仕事学のすすめ』自分ブランドで課題克服」(生活人新書 NHK出版)





前半は藤巻幸夫、後半は勝間和代が、それぞれ己の仕事に対する価値観を記している。
まだ藤巻さんの稿しか読んでいないのだが、ここは実に面白い。



藤巻さんの職業はファッションのバイヤー。
その彼が掲げる仕事学は、
「自分ブランドで人を巻き込め」というもの。



ファッション界に身を置いてきた彼ならではのワードである。
これの説明文があまりに秀逸なので、ここに引用しよう。





  私は、ファッションの世界で勝ち残ってきたブランドには、次の3つの要素があると思っています。


 ●ストーリー(物語)・・・・・・確固たる意志と、それが生まれてきた背景
 ●ヒストリー(歴史)・・・・・・売れない時代にも負けないことによって刻み込まれた時間
 ●フィロソフィー(哲学)・・・・・・とにかく作り続けるのだという意識


  単に品物がいいというだけではダメ、個性的であるというだけでは足りない。もちろん売れていたり人気があればいいというわけでもない。ストーリー、ヒストリー、フィロソフィー――この3つが重なり合って、この品物でなければならない、替わりのものはないというほどお客様から信頼され、大切に思われていなければ、ブランドとしては弱いのです。
  それを人間にあてはめれば、信念を持って行動し(フィロソフィー)、自分がどのような軌跡をたどってなぜここにいるのか、なぜコレにこだわるのかという目的や使命を自覚して(ヒストリー)、自分の言葉で周囲の人々に語りかけ、人の心を巻き込みながら、より大きな仕事を実現していくこと(ストーリー)。それが、自分という人間を、信頼に足るブランドとして作りあげるということです。





何度読み返しても痺れる言葉で、
目の醒める思いがした。



そこからは具体的な仕事の経験談やコミュニケーション術について紹介されている。
藤巻さんは、何より、人の心を掴むのが巧い。



読んでいると、
――ああ、こういう上司の元で働けたら幸せだろうな
という感慨が込み上げてくる。



日常生活におけるコミュニケーション不全、
職場でのコミュニケーションロスに悩む多くの人に薦めたい良書だと思う。