人文系大学生のプレゼンテーション作法①

昨日、私はとあるゼミで発表をした。
教授から要求された時間は40分。



これは、学部一般においてはかなり長い部類に入る。
しかも当ゼミは参加者の意識がなかなか高く、下手なことを言えば容赦なく指摘が飛ぶ。



よってプレゼンを成立させるにはかなり骨が折れるのだが、
それでもなんとか身のあるプレゼンを作るために、
私なりに頭を絞った痕跡をここに残そうと思う。



※できる人から見れば「当たり前だ」と思われるかもしれない。それはそれで構わない。
ただ、悩んでいる人の助けになれば、それだけで筆者冥利に尽きる。



  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■


1.フレームワークのないプレゼンはただのお喋り


フレームワークという言葉。
これは辞書的には「枠組み。骨組み。組織。体制。」(デジタル大辞泉)とあるが、
ビジネス上では「経営戦略や問題解決における思考の枠組み・ツール」を指す。



例えばマーケティングでは、代表的なものに「4P」というフレームワークがある。
これは「価格(Price)、製品(Product)、流通(Place)、広告宣伝(Promotion)」のことであり、
新商品の立案や、既存の商品の改善をはかる会議のときはこれを念頭に置いて議論する。



こうして4つの要素をセットにしてパッケージ化しておかなければ、
「流通を改善すれば売れる」、「良い製品ができれば売れる」などといった短絡的な議論に終始してしまう。4つの要素は相互に補完しあう関係なのだから、あくまでセットにして議論しなければならない。



さて、このフレームワークなるものをプレゼンにあてはめるとどうなるか。
私は以下のようなものを提示したいと思う。



(1)プレゼンの目的
(2)プレゼンの仕組み
(3)聞き手に求めるアクション
(4)プレゼンの価値



まず、(1)プレゼンの目的である。
目的が確たる形で設定されていなければ、仕事は場当たり的なものになってしまう。



すなわち「このプレゼンを通じて、何を得てもらうのか」ということを考えなければならない。
例えば「つけ麺に宿る日本の美意識」について理解してもらえればO.K、というように。
(この「目的」についての詳細は次回)



       ■       ■       ■  



続いて(2)プレゼンの仕組み。
これは(1)の「目的」を達成するために、いかなる仕組みを用いて相手に理解させるか、ということだ。



仕組みとしてとても役にたつ、良い例を挙げよう。
それは、お笑いにおける「ツカミ・ネタ・オチ」である。



まず「ツカミ」で、聞き手の関心を引き寄せる。
続いて「ネタ」で、自分たちの表現を見せる。
そして「オチ」で、聞き手に驚きを与え、面白さや余韻を感じさせる。



これは普段のコミュニケーションでも多いに役立つので、
普段から念頭に置いておくといいかもしれない。



      ■      ■      ■  



(3)聞き手に求めるアクションは(1)の「目的」と似ているかもしれないが、
微妙に異なるし、なかなか重要なものである。



このプレゼンを聞いたあと、聞き手にはどういうアクションを起こしてほしいか。
例えばゼミの場では「発言してほしい」というのがある。



そのためには、
・内容が違和感なく理解できる
・知的好奇心を刺激されてワクワクする
・身近な領域と結びつけて考えやすい



などの条件を満たさなければならない。
これを念頭におけば、文章や発言における表現に対して気配りも生まれる。



      ■      ■      ■  



最後に(4)プレゼンの価値。



これは至ってシンプル。



・発表者の「色」が出せているか
・手垢のついた表現ではなく、自分の言葉で表現できているか
・誰かほかの高名な学者や知識人の劣化コピーではないか
・独りよがりでなく、組織を意識した発表になっているか
・自分に対して何らかの課題を課し、それを達成できたか
・悔いが残らない、と断言できるか



私は、これらの一つでも満たせなければ、
その発表は「失敗」になると思う。



だから今回の発表は大失敗。
しかし、悔いは残っていない。限られた時間の中、成功させるつもりで精一杯やった。



すると、失敗は次の糧となる。
「負けて学ぶことがある」と口にできるのは、勝つつもりで挑んだ人間だけだ。



……続きはまた明日。