教育を受けるということ、社会に出るということ

再びカンブリア宮殿
冒頭で村上龍の発した言葉が印象的だ。



“education”っていう言葉は、日本では“教育”と翻訳されてしまったんですけど、
本来は子供を“1人で食っていけるようにする”という意味なんですよ



今回はモード学園の社長。



2009年10月12日放送
誰もしないことをやれ! 
好きなことをやれば 一番 伸びる!
ゲスト:谷 まさる氏(モード学園学長)



モード学園……あ、あれか!




↑あれ



新宿駅西口に行けば間違いなく視界に入るあのビル。
(なんとキャッシュで建設したというから驚きだ)



専門学校に対して自分が持っていた偏見が取り払われた。
なんだ、大学生よかよっぽどマトモじゃないか。



モード学園の学費は、およそ年間120万円。
国立大学よりも遥かに高く、私立の文系一般と同水準だ。
その代価としてモード学園が示すのは「就職率100%」という実績である。



もちろん何らかのカラクリがある数値かもしれないが、相応の説得力を感じた。



谷氏は語る。
私は“就職”についてはですね、ほとんどが“就社”になっているんではないかと思うんですよ。
就職というのが、会社に入るだけ。あの会社に入る、この会社に入る……しかし、本当に職業というのは、その会社の中で何をやるのか、ということであるべきです。ですから、“就社”ではなく“就職”、本当の就職



実際、モード学園の学生は毎日膨大な量の課題をこなしている。
とあるファッション系の学科に在籍する学生は、年間200個の課題をしているそうだ。
それも、工数的に4時間かかるような課題がざらにある。



そして講師は全員が実務経験者、すなわち会社からお金をもらって専門職をしていたプロフェッショナル。
とある学科の講師曰く、
いろんな先生が次から次にと(課題を)出してくるんですけれども、やはり社会に出た時も仕事の“段取り”があるように、出された課題を、どういう順番で、どうこなすか――というのも社会に出るための勉強になると思います
とのこと(ちなみにファッション学科は学長自ら授業や課題の添削も行っているようだ)。



さらに、手厳しい就職指導も定期的に行われる。
担当「『うちじゃないよ、君は』って先方の企業が言うと思う。99%受からないと思ってる、合ってないからね。



学生自身が望むキャリアアップに合わないなら、希望する企業すらも捨てろ、という指導。
すげえよ、モード学園。大学のキャリ●セ●ターに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい……。



谷氏曰く、学生に求めることは二つ。
①授業に出席すること。
②課題を提出すること。
それでも一人前にならなかったら、それは教育のせいだ、と。



私は甘い教育は絶対教育にならないと思っていますので、徹底したスパルタ教育が必要だと思っているんですよ。でも世間一般で言う、難しい問題を山積みにして、できない人は落っこってって、“できる人だけついてこい”っていうのは本来の教育じゃないと思っていますので……やっぱりできないのをなんとかできるようにして、一人前にして、一人で生きられるようにして世の中に出す。これが教育だと思っているんですよ



心から感心すると共に、少し悲しくなってしまった。
日本は、どうして教育のボタンをかけちがえてきたのだろう。
いまさら制度の不備を糾弾する気はさらさらないし、別段怒りも感じないのだが。



ただ、教育水準、モラル、自立心。こうしたものを持たない人間が社会の過半数以上を占めるようになったら、
国としてどうしようもないじゃないか。もう、衰退するほかない。



日本は多額の財政赤字を抱えているけれど、教育制度の不備は、視覚化できない
“無形の不良債権”なのではないだろうか。



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谷氏は、もともとファッションデザイナーだった。
それがモード学園の創立を思い立ったとき、周囲100人に話してみたそうである。



すると、母と弟以外の98人が反対したそうだ。
「採算が取れるわけがない」というのが最たる理由。



それを聞いて、谷氏は確信したそうだ。
98人が失敗すると思っているのなら、他の学校は参入してこない。だから、自分が進出できれば、駅前を制覇できる、そう思った



そこで今回の金言。
98人が反対したから、成功すると思った    谷まさる