俺が、私が中心でないと気が済まない人のために

一発狙い、という言葉がある。

事業においては、短絡的に巨万の富を得ようとすること。
野球においては、ホームランや長打を狙うバッティングをすること。
芸においては、とにかく脚光を浴びるために目立とうとすること（？）。

根本的にこの“一発狙い”というのは、あまり誉められたものとされない。
目先の賞賛や利益を目的にすると、とにかく仕事が雑になりがちだからだ。
仮にその瞬間は成功しても、長期に渡って実績を残すことができない。

この“一発狙い”、自分には縁のないものだと思っていたけれど、
案外そうでもないらしい、ということが最近分かってきた。

どうやら、人間は、脚光を浴びるような成功体験をすると、
その快感を身体が記憶し、その後も無意識に求めてしまうものらしい。

ちなみに、「野村ノート」では次のような記述があった。
「彼（引用者注：現ヤクルトの宮本慎也）がホームランを打ってベンチに帰ってきたときに叱ったこともある。ホームラン打者でもない人がホームランを打つと必ずスランプに陥る。無意識に体がホームランを欲しがるようになる。まさにホームランは麻薬のような要素を持っている。あのイチローでも１試合に２本のホームランを打った翌日から、３試合もノーヒットの試合が続いたのは、単なる偶然とは思えない。」

私のような一般人にも、これには頷ける所がある。
飲み会やコンパで自分が場を盛り上げることに成功したときとか、
ミーティングで自分が中心になったときとか。

そのときが持つ快感を体が記憶し、ふだんのありふれたコミュニケーションの中にも
それを求めるようになってしまう。まさしく、麻薬のようなものだ。

短絡的に成果や名声を求めるのではなく、
当たり前のことを当たり前にやって、自分の役割を全うする。

忘れないように、ここに書いた。