「忘却の旋律」を読み返してみた
先日に引き続き「忘却の旋律」について。
この漫画の何が好きかといえば、要所要所でキャラが話す台詞が
常に「生き方」をテーマにしたものになっており、
読むたびに考えさせられるものがある。
□■あらすじ■□
人間がモンスター*1との戦争に敗れ、モンスターが人間を支配するようになった世界。
人はモンスターの暴力と権威に隷属する生活を送っている。
主人公・芹名ボッカは退屈な日常を送りながらも、人間の科学力が一切通用しないモンスターに唯一抵抗できる存在・メロスの戦士*2に憧れていた。
ある日、ボッカの学校がモンスターの交戦に巻き込まれ、自らの無力さを実感した彼はメロスの戦士に目覚める。
その時出会った「黒船」と名乗る戦士に「“忘却の旋律”を探し出すことができれば、人間はまだ負けない」ということを聞かされ、ボッカは黒船と共に「忘却の旋律」を探す冒険に出る。
※1 モンスターとは、人間を主食とする異形の怪物。当初その正体は謎とされていたが、終盤で出自の秘密が明らかになる。
※2 メロスとは「旋律」という意味のギリシア語。英語「メロディ」の語源。
□■セリフ集■□
ネタバレ含むので、予備知識なしに自分で読みたい人は気を付けてくださいね。
文脈をざっくり説明してますけど、「なんとなく」雰囲気を感じてもらえれば幸いです。
◆1巻:ボッカが戦士に目覚める場面で、月ノ森小夜子という黒船に付添う少女が言ったセリフ。
やめろ 見るな!
才能だけじゃダメなんだ!!
人生ドブに捨てたいのか!
夢で終わらせた方がいい事もあるんだ!
憧れのままが 一番イヤな思いをしなくて済むんだ!!
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◇2巻:ボッカが親しくなった少女・けい子をモンスターの手によって失った時のセリフ。
俺…戦士の力に目覚めて… 自分は選ばれたスーパーマンだと信じてて…
誰にも負けないと思ってた… 自分はなんでもできると思いこんでた…
でも…
俺なんかまるで駄目じゃないですか…
こんな力をもらっても… 好きな女の子すら守れなかった…
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◆3巻:黒船が自らの師匠・音無小百合に思いを馳せる場面。
先輩の背中だけ見てればいい
今は分からない事も いつか自然と理解できる
そうですよね 先生
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◇4巻:黒船が自らの命と引き換えに、モンスターに一矢報いる場面。
忘れるなボッカ!
男なら真剣に志した生き方は 命をかけて貫き通せ!!
たとえ倒れる時も前のめりに倒れてみせろ!!
真剣に生きるとはこういう事だ わかったか!!
(中略)
…………
でもな……
辛くなったら逃げだしても… 俺は別に怒らないよ……
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◆6巻:決戦にて、最強のモンスターにボッカが一時敗れ、瀕死のなか黒船の魂と邂逅する場面。
……さあボッカ 最後の授業を始めるぞ
お前はもう見つけたか……? 見つけたものはあるか?
誰かに従う生き方も 同じ価値観を強いられる集団にいるのも嫌がって
お前は自由の戦士に憧れた
では言ってみろ
お前が見つけた自由の生き方を
何の為に 何がしたくて 何が大切だからここに来た?
世界を救う為か? 強さか? 名声か?
どこかの誰かの言う通り 忘却の旋律とやらを追いかける為か?
…………
見つけたもの……ですか?
そうだ
誰にも縛られず 真剣に志した生き方を
真剣に生きたいからこそ 自由の戦士になったんだろう?
言ってみろ お前の見つけた生き方を!
見せてみろ お前が志した真剣な生き方を!!
◇6巻:決戦から10年が経ち、モンスターは未だ健在だがメロスの戦士の数も大幅に増大し、日常的に両者の戦いが行われている時代。ボッカは「ケリをつけ」に忘却の旋律のもとへ行こうとする。そこに弟子が声をかけ、ボッカがそれに応じる場面。
(「忘却の旋律を探すのは戦士の使命ですよ!」という弟子に対し)
世界を救う? お前はそれがしたいのか?
え…? いやその… それが戦士の決まりであるかと…
お前はどこかの誰かが言い出した 忘却の旋律を追いかけるという事の為に戦士になったのか?
自由な生き方を選んだら いきなり規則ができるのか?
忘却の旋律なんてくだらねえもんだ
自由という無限の選択肢の中で お前はお前だけの志を選べばいい
真剣に生きたいと願うなら まずは自分の一番大事なものを失くさないようにしろ
もっと大切なものができたなら 次はそれをなくさないようにしろ
志とは職業じゃない 自分が本当に大切にしているものの積み重ねだ
触れる事すらできない目標を決め込んで 手が届かないともがき続けることじゃない
- 作者: 片倉真二
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