人間、フツーでいい。
普通って言うな!
――という叫びを心に抱く人は、決して少なくないと思う。
少なくとも自分は、そう思いながら生きてきた。
この"普通コンプレックス"は、反動として自己顕示欲を生む。
しかし普通さ故に自己顕示がうまくできず、より普通コンプレックスが助長されていく。
"普通である自分"を跳ね返そうとしてきた。
特に大学に入ってからは、なるだけ自分を大きく見せよう見せようとしていた気がする。
ロクすっぽ中身も伴ってないのに、根拠もなく「自分はできる」と信じ込んでいた。
周囲から凄いねと言われたことは何度かあったけれど、
それは、単にハードルが低かっただけのことだろう。
普通の人でも、やる気と開き直り次第でたやすく超えられるハードルを超えて、それが自分のセンスだと勘違いしていた。
しかし、一学生なりに「社会」や「自分」というものについてイヤというほど
考えさせられた機会があり、自分が一介の凡人に過ぎない事を痛感した。
私には、特別な才能は何もない。
特別な才能がないなら、かわりに知恵を絞らねばならない。
むしろそっちの方が楽しい、と最近は思える。
センスに任せてうまくことを運ぶことに、昔憧れることはあったけれど、今はさほど魅力を感じない。
逆に、苦労したり、無い知恵を絞って必死になったりした経験のない人には"味"がない。
だから普通でも、良いじゃない。
普通の人なら普通の人らしく、"凄い人"から凄さを目いっぱい吸収して、
"普通だけど一味違う人"になれればいい。
そのためには、自分が好きなものや、人との出会いを大切にしなければ、と最近痛感する。
特に今の自分は"学生"という、自由度・時間ともに恵まれた身分。
その中で、興味の赴くことを一心不乱にやって、自分なりの"普通"になればいいと思う。
私は普通でいい。