あの空を見ただろうか
今日は空が晴れていた。
雲ひとつ無い、空だった。
快晴は、自然と心も晴らす。
日中の青空ももちろん好きだけど、
私が特に心惹かれるのは、夜の始まりの時間。
黄昏時を終えた空が、闇に染まり始めた最初の段階。
暗いけど、真っ暗ではない。
その時の空が、たまらない。
そして、快晴の日のそれは、得も言えず美しい。
吉祥寺駅を降りたのは、午後5時。
まさにその時間であった。
吉祥寺から井の頭公園へと行く通り。
寮への帰路。お洒落な下町の風情の残る場所。
空は、青でも、黒でもない。
明るくて淡い、ターコイズの色。
店の灯りが、それを優しく引き立てる。
幸運にも、この絶妙な明るさのおかげで、
日没後にも関わらずカメラのシャッターが切れた。
スタバも、ここのはどこか風情がある。
公園に入り、その中心の湖にかかった橋を渡る。
湖面は、空を逆さにしたような色――ではない。
より暗く、深みのある色。
黒曜石のような。
何故だか、心がそこに吸い寄せられる。
入ってみたい、とふと思ったが、今は空を見上げた。
この文を読んでいる人。
あなたも、この空を見ただろうか。