自分を客観的に見つめる

福田元首相の辞意表明会見が記憶に新しい。



会見で、ある記者が
「総理の話は他人事のように聞こえ、それが国民の不信に繋がっている」
という旨の発言をしたところ、福田氏は
「私は自分自身を客観的に見ることができるんです、あなたとは違うんです
と息巻いた。


しかしながら、これこそ自分を客観視できていない人の発言ではないだろうか。


自分のありのままを客観視していれば、自然と心に余裕が出てくる。


この場合、首相は記者に対して一方的に上の立場なのだから、
感情的になってはあまりにも大人げない。


「国民の生活がかかっているのに、他人事なわけないでしょう」
など言えれば、器の違いを見せれたのではないか。


一方で小泉氏あたりは、良くも悪くも強固な信念があり自分本位だから、
「ほぉ。君、名前は? 面白いね、どの辺が他人事だと思ったの? あとで詳しく聞かせてくれる?」
と相手を自分のペースに巻き込みそうな気がする。


その逆、他人本位で権威主義的な人間は、自分の矜持を刺激されたとき、
「私を怒らせるとは何事だ」と真顔で怒って見せることで相手を威嚇する。


国のトップがそういう態度を見せたことは些か悲しいが、
国民全体に対して反面教師になってくれたと思うことにしよう。



――しかしながら。
こうして記事が書けるのも、
福田氏の会見が私にとって<他人事>だったからに過ぎない。


「傍目八目」という言葉がある。(おかめはちもく。「岡目八目」とも書く)
他人が打っている碁を見ていると、
対局の状況や今後の展開がよくわかり、八目先まで見通せるという意味。


なるほど良く言ったものだ。


人間、自分のことより他人のことの方がよくわかることが多いから。


結局、自分を客観的に見れないときは、
自分の尊敬する人のことを考え、
「あの人ならどうするだろう」
という観点で思考すれば答えが出るのかもしれない。